雑穀のように、レンズ豆も古くから食卓に上る食べ物の一部であったそう。「古くから」というのは、紀元前11000年前です。原産地は西アジアと言われている。
雑穀と違って(雑穀その1)、レンズ豆の料理は、私の記憶では昔からずっと、過小評価されてはいない。主観的な立場からの見方だけど、私はレンズ豆が大好きで、料理でよく使っていると言うと、黍(キビ)の時みたいに、え?鳥の餌を食べるの?、というような反応を受けとることはない。
雑穀と違って、レンズ豆は昔、何でだか日本への道を見つけられなかったらしいです。レンズ豆は昔から中国にもなかったそう。(レンズ豆の一種である)ダル豆の王国と言われるインドと接している中国などとの間で巨大でぶ厚い見えない壁か屏風かを立てられたよう。不思議ですね。
なぜ東アジアではレンズ豆が根付かなかったのかまったく分からないけれど、たぶん日常生活で重要な役割を演じている大豆との関係があるかもしれない。まるで、競争相手ですからね。
ということで、ここでいつも料理で使っているレンズ豆を紹介したい。
※レンズ豆の料理を作る時、塩は、あらかじめ水には入れないでください。塩は、レンズ豆が柔らかくなってから加えてください。なぜかというと、塩を加えたままで煮たら、レンズ豆が柔らかくならないからです。
どうやって紹介しようか、一番好きな種類を先にしようか、それとも、柔らかさを基準にして順番を決めるか、色々考えて、やっぱり後者にしようと今決めた。
そうすると、順番は、以下の通り:
・赤レンズ豆(red lentils, rote Linsen)
・「普通」のレンズ豆(large brown or regular lentils, gewöhnliche Linsen)
・「山」のレンズ豆 (mountain lentils, Berglinsen)
・黒(ベルーガ)レンズ豆 (black (beluga) lentils, schwarze Beluga Linsen)
赤レンズ豆
これはインド風料理に一番適したレンズ豆です。インド料理の中には黄色い種類のレンズ豆を使う料理もあるけど、赤レンズ豆のほうがずーっと美味しいと思う。加熱時間は10〜20分ぐらい、すぐ煮崩れちゃうから、スープやポタージュ、カレーにはベスト。加熱をすると、色が変わって黄色になってしまうから、びっくりしないでね。
赤レンズ豆で作ったファラフェル(falafel)もとても美味しい。ファラフェルというのは中東の、ちょっとコロッケに似ているけれど、普通はひよこ豆(chickpea)やそら豆で作った、ストリートフード。赤レンズ豆で作ったファラフェルは最高だと思う。中東の人達は、たぶん同意しないかもしれない。
赤レンズ豆は、本来、レンズ豆の種類の一つではなくて、本当は皮をむいた「山」のレンズ豆です。皮がむかれているから、消化されやすい。
赤レンズ豆で作ったカレーのレシピはこちら
赤レンズ豆で作ったファラフェルのレシピはこちら
「普通」のレンズ豆
普通のレンズ豆は、一言で言うと、何の料理に使ってもいいかもしれない。普通のレンズ豆はべちゃベちゃになりやすい傾向があるので、やや「柔らかい」食感が好きなら、サラダに使っても良い。さらに、赤レンズ豆や「山」のレンズ豆などのここで紹介されているレンズ豆の大きさを比べると、このレンズ豆の方が大きくて、色も、緑っぽかったり黄色っぽかったりするものから、うぐいす色や茶色いものまで幅がある。
普通のレンズ豆は、シュヴァーベンという地域(ドイツの西南部にある、やや漠然とした、歴史的な地方の名称)では、名物料理の一つに使われていて、大変人気があります。その名物料理は「レンズ豆とシュペッツレ」という名前で知られていて、家庭料理としてよく食べられている一皿です。シュペッツレ(Spätzle)は卵入りの麵で、食感は、スパゲッティとうどんの間ぐらいと考えられる。味は:美味しい。
最近、シュヴァーベン地方の古来からのレンズ豆の一種が再び栽培されることになった。「シュヴァーベンジュラ山脈のレンズ豆」(Alb-Leisa Linsen)という名前で発売されている、普通のレンズ豆の一種の、形のやや小さいレンズ豆。
「レンズ豆とシュペッツレ」のレシピはこちら
「山」のレンズ豆
「山」のレンズ豆は本来、レンズ豆の種類の一つじゃなくて、山で栽培されているレンズ豆の総称です。このレンズ豆は標高700〜1500mの場所で一番よく育てられているらしい。だから、このレンズ豆はカナダやトルコ、インドや中国のような国の山間部で最も栽培されているのだ。
「山」のレンズ豆の色は、栽培されている地方によって、黒い点のような模様が付いているのものがあって、薄茶色から茶色、赤茶色や焦げ茶色まで幅広い彩りがある。
「山」のレンズ豆は普通のレンズ豆より歯応えがあって、つまり、煮すぎてしまう可能性が低い。だから、サラダにも良いし、歯応えがある方が好きなら、「普通」のレンズ豆を使う料理で、代わりに「山」のレンズ豆を使ってもいいです。
味は普通のレンズ豆とちょっと違うけど。。。。
(黒)ベルーガレンズ豆
“ベルーガレンズ豆”という名前は面白いと思いませんか?“ベルーガ”という言葉は聞いたことがないから、少し調べてみることにした。その“ベルーガ” という言葉のたくさんある意味の中には、レンズ豆と全然関係がないこともあって、(例えば、ベルーガというロシアのウイスキーがあるらしい)、レンズ豆と関係があるのは、やはりベルーガという魚です。オオチョウザメとも言い、その魚の産んだ卵は小さくて黒くて黒レンズ豆によく似ているから、この豆は、ベルーガレンズ豆と名付けられた。
ベルーガレンズ豆の特徴はそのアルデンテのような食感のこと。というのは、(たぶん)何分煮てもべちゃべちゃにはならない(と思う)。だから、赤レンズ豆のように、煮崩れた豆で作るようなインド料理には適さない。でも、煮崩れないから、サラダにはベスト。というか、サラダ以外の料理を思い付かない。