今回のレシピの主な材料はドイツ語圏で売られている「普通」のパンです。だから今回のレシピは、たぶん日本では、あまり作りやすくないかもしれない。
なぜ日本で作りにくいのかと思うかもしれませんね。それは、この「普通のパン」のせいです。「普通のパン」とは、どういうことかと言うと、意見は色々あるけれど、私にとっては、とても柔らかくて白い(バゲットとかトーストみたいな)パン以外の、ドイツパンっぽい固くて噛み応えのあるパンだ。
料理の比較は時々至難の業ですけれど、パンスープは日本で言えば、お粥と味噌汁を混ぜ合わせたぐらいの物なのかしら。実は現代ドイツ人は、パンスープを食べた経験のない人が多いから、その食感を知らない人も多いかもしれない。なぜかというとパンスープは、食糧不足の時代に重要な役割を果たしていたメニューのイメージがあるので、食の豊かさに慣れている現代人にとっては忘れられた物になってしまったからです。日本のすいとんみたいな物ですね。だから、日本で、お粥があまり好きじゃない人がいるように、ドイツでも、パンスープをあまり食べたくない人もいるかもしれない。
日本では「普通のパン(ドイツパンっぽい固くて噛み応えのあるパン)」は手に入りにくいのに、なぜここで紹介するのかと思っているかもしれない。答えは、(1)このスープの作り方はすーごい簡単だし、(2)それだけで素朴な美味しい一皿になるから。もしドイツパンみたいなパンを手に入れたら、ぜひ作ってみてください。
一般的には、パンスープを作るためには、古くて固くなってきたパンを使う。もちろん、新鮮なパンを使ってもいいけど、その場合は水分を減らしてください。簡単な料理だけれど、美味しいですよ。
材料(2人分):
・古くて固くなったパン 50g―60g
・水 700mlぐらい
・卵 1個
・キャラウェイ 小さじ2杯
・塩、胡椒
作り方:
・鍋に水を入れ、パンとキャラウェイを入れて沸騰させ、中火でパンが荷崩れ始めるまで煮る。とても古くて固いパンなら、一晩、水に浸しておくこと。パンの固さによって、すぐに全部、煮崩れてしまうから、泡立て器で固さをみながら少しずつパンを崩してみるようにしてください。結果として、スープの中に小さな塊が残っている状態が望ましいから、このレシピでは、ハンドミキサーは適切じゃない。
・次に、卵を加え、よく混ぜ、塩と胡椒で調味して、出来上がり!
好みによって、レシピにある水の量を増やしてもいい。